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今月29日、マスコミ各社から、当会所属の司法書士が道路整備特別措置法違反の疑いで逮捕された旨が報道されました。
当該会員は、本年9月6日~16日大阪府内の阪神高速の料金所で十数回にわたりETCレーンの開閉バーのすき間をバイクで強行突破したとされており、また同種の行為を数年間で千数百回繰り返していたとも報じられています。
司法書士は、法律家として法令を遵守することは当然であり、報道されていることが事実であれば、当該会員の行為は、市民の司法書士に対する信頼を裏切るものであり誠に遺憾であります。
今後は、司法書士に求められる職責を再認識し、会員に対しこれまで以上に高い倫理観、使命感を持つよう指導してゆく所存であります。
2009年(平成21年)10月30日
大阪司法書士会 会長 山内 鉄夫
平成21年10月5日
国土交通省民間賃貸住宅部会「中間とりまとめ」に対する意見書
大阪司法書士会
会長 山内 鉄夫
当会は、平成21年8月12日に公表された国土交通省民間賃貸住宅部会「中間とりまとめ」に対し、下記のとおり意見を表明いたします。
2 紛争の未然防止について
●問題点
賃借人(入居希望者)に関する信用情報に関しての検討(4頁③の「・」二つめ)
○意見
賃借人に関する信用情報のデータベース化導入については反対する。
当該データベース化は悪質滞納常習者を排除する趣旨であると思われるが、単純に一定回数の滞納があるというだけで当該データベースに登録されるのであれば、勤務先の倒産や突然の解雇、傷病などやむを得ない事情による失業や所得の大幅低下など、必ずしも賃借人の責に帰すことのできない滞納であっても等しく掲載されることになる。結果、賃貸住宅市場の活性化よりも生活の基盤たる住居の安定性が失われることによる社会不安を招く可能性がきわめて高い。
もし仮に、当該データベース化が導入されるとしても、登録条件及びその利用条件を厳格に定め、当該データベースが単純に低所得者、不安定所得者を賃貸住宅市場から排除する手段として用いられることのないように十分な配慮が不可欠である。
(3)民間賃貸住宅に係るルールについて
●問題点
敷金以外の一時金について、考え方を整理した上で賃貸住宅標準契約書の見直しも検討(5頁②の「・」三つめ)
○意見
敷金以外の一部金のうち、礼金・更新料・敷引については、消費者契約法第10条に照らしての無効性が裁判で争われており、一部では消費者契約法第10条により無効との判断もなされているので、賃貸住宅標準契約書の見直しに際し、礼金・更新料・敷引の定めを置くことは不相当と考える。
3 紛争の円滑な解決について
(3)損失・負担を防止またはカバーする仕組みについて
●問題点
原状回復についての保険・保証(8頁①「・」一つめ)
○意見
原状回復についての保険や保証については、第三者とはいえ保険会社または保証会社によって、恣意的に原状回復の範囲が定められる可能性がある。たとえ保険で補填されるとしても、賃借人の義務を加重することになりかねず、慎重な検討が必要である。
保証の場合は、保証債務を履行した債務保証会社から賃借人が、後日、求償されることになるのであるから、賃借人にとって負担が軽減されるわけではない。また、賃借人が保険料を負担することも、最終的に賃借人の修繕費用負担がない場合には、みだりに賃借人の負担を増すことになりかねず、慎重な検討が必要である。
●問題点
家賃債務保証業務の適正化を図る方策としてのガイドラインの策定について(11頁冒頭「例2」「例4」)
○意見
求償権行使にあたっての遵守事項をまとめて周知することは、家賃債務保証業務の適正化に関して意義があると思われる。しかし、【各方策例の課題について】にもあるように、ガイドラインは法的拘束力を持たないため、実効性に難が予想される。従って、家賃債務保証業務には法律に基づく許可制・登録制などを導入して、一定の強制力を持たせることが必要と考える。
●問題点
許可制・登録制にした際の行政コストについて(12頁目「□」二つめ)
○意見
許可制・登録制にした際の行政コストに関する視点は不可欠である。しかし、その点を理由として家賃債務保証業務等の適正化が遅れるようなことがあっては本末転倒である。
反面、許可制・登録制にした際に生じる行政コストが、最終的に賃借人に反映されてしまうような結果とならないよう配慮すべきである。
●問題点
簡易に債務名義を得る仕組みを検討(13頁②「・」五つめ)
○意見
簡易な債務名義の取得については、これを安易に導入すれば低所得者・不安定所得者のように、やむを得ず家賃を滞納してしまった者を賃貸住宅市場から排除することにつながりかねない。簡易に債務名義を得る仕組みを検討するにあたっては、法的紛争の終局的解決は裁判所において図るという前提を外さず、慎重な司法判断が担保されるよう配慮したうえで行うべきである。
以上
平成21年8月14日
改正貸金業法の早期完全施行を求める会長声明
大阪司法書士会
会長 山内 鉄夫
平成18年に成立した改正貸金業法の完全施行に関し、当会は、多重債務問題の法的救済を支援する立場から、以下の意見を表明する。
1990年代のバブル崩壊以後、日本経済は長期低迷に陥り、経営の悪化やリストラなどが起因した多重債務問題は深刻化した。現在も経済・生活苦での自殺者は年間7,000人前後で推移している。この問題の大きな要因として、貸金業者の貸し付けに対する法規制が十分ではなかったことが挙げられる。
平成18年の改正貸金業法は、多重債務被害を救済すべく成立したものであり、政府も「多重債務問題改善プログラム」を策定して、官民が連携して多重債務対策を実施した結果、多重債務者が大幅に減少し、多重債務対策は確実に成果をあげつつある。
ところで上記改正貸金業法の施行は4段階に分けられており、第3段階までは既に施行されているが、出資法上限金利引き下げ等の金利体系の適正化や過剰貸し付け抑制のための総量規制の導入等が実施される第4段階は未施行である。
この改正貸金業法の主眼ともいうべき第4段階の施行を前に、改正貸金業法の見直しや貸金業者に対する規制緩和を求める声が上がっている。これらの論拠は、規制強化により貸金業者が貸し付けの与信基準を厳格化したことで中小企業の資金繰りが悪化し倒産が増加する、貸金業者、特に消費者金融から借り入れできなくなるとヤミ金融からの借り入れが増加する、といったものである。
しかし中小企業の短期的資金需要の充足を貸金業者に求めたとしても資金繰りは改善されず、むしろ高金利による返済によって企業の破綻を招きかねない。この点は中小企業を個人に置き換えたとしても同様のことがいえよう。
後者のヤミ金問題も含め、これらの問題については、金利見直しや貸金業者への規制緩和によるのではなく、資金需要者に対して低利あるいは無利息の融資を提供するセーフティネット貸し付けを充実させることによって解決すべきである。
改正貸金業法は、貸金業者の健全化策であるとともに個人や中小企業者が多重債務に陥ることのないように改正されたものであって、改正貸金業法の見直しや貸金業者に対する規制緩和を行うことは、再び自殺者や自己破産者、多重債務者の急増を招きかねず決して許されるべきではない。その完全施行を実現しなければ、多重債務被害をなくすという改正貸金業法の真の目的を達することはできない。
そこで当会は、国に対し以下のことを求める。
1 多重債務被害をなくすため、改正貸金業法を早期に、遅くとも本年12月までに完全施行すること
2 多重債務被害の早期救済を図るため、自治体での多重債務相談体制整備のための予算(相談員の人件費を含む)を十分確保するなど、相談窓口の充実を支援すること
3 多重債務に陥らないよう、個人及び中小事業者向けのセーフティネット貸付を更に充実させること
4 ヤミ金融の撲滅に向けて、取締りを強化し、徹底的に摘発すること
以上
大司発第242号
平成21年6月30日
法務省民事局総務課登記情報センター室 御中
大阪市中央区和泉町1丁目1番6号
大阪司法書士会
会長 山内 鉄夫
TEL06-6941-5351
FAX06-6941-7767
『新オンライン登記申請システム骨子案』について(意見)
法務省オンライン登記申請システムについて、以下のとおり意見を述べます。
「2 基本方針」について
基本方針の内容については基本的に賛同するが、ユーザー別申請方法の提供、特に法務省提供にかかる申請用ソフトウェアについて、以下のとおり意見を述べる。なお、作成システムと申請システムが統合されるようであるが、便宜これらを分ける。
(1)作成システムについて
(2)申請システムについて
「3 登記申請の利便性向上」について
基本的に賛同するが、特に以下について意見を述べる。
「4 登記事項証明書等の請求の利便性の向上」について
基本的に賛同するが、特に以下について意見を述べる。
以上